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農業辞典

草刈り機の燃料に関する知識 見分け方や買い方などを説明します!

2024.4.25

草が伸び始める初夏にかけて、使用頻度が高くなるのが「草刈り機」。草刈り機には様々な種類がありますが、中でも燃料を必要とする草刈り機を使用する場合は、その燃料にも気を配る必要があります。どんな燃料が必要なのか、どんな注意点があるのか。エンジン式草刈り機の燃料に関して解説します。

INDEX

草刈り機(刈払い機)の燃料とは

エンジン式草刈り機に必要な燃料

草刈り機には、刈払い機や自走式といった草刈り機の用途や機械のかたちでも様々な種類がありますが、動力の違いでも種類がわかれています。草刈り機の動力は主に3種類あり、充電式、コード式、エンジン式の3つです。コードレスで動く充電式や、電源を確保して動くコード式は電気で動きますが、エンジン式の草刈り機の場合は燃料が必要になります。刈払機で斜面を刈る様子

ガソリン

ガソリンは一般的に知られているとおり車に使用されている燃料です。車、バイクなどで使用されるガソリンを草刈り機にも使用する場合があります。ガソリン

混合燃料

混合燃料や混合ガソリンという呼び方をされる燃料はガソリンとエンジンオイルを混ぜたもののことを言います。農機具では使用されることがありますが、一般の方はあまり聞きなじみがないかもしれません。

必ず指定の燃料を使用する

一般的に燃料というと、軽油、灯油といったものも含まれますが、エンジン式の草刈り機で使用される燃料はガソリンと混合燃料(混合ガソリン)の2つです。それぞれの燃料に代用品はありません。必ず指定された燃料を使用するようにしてください。

草刈り機燃料の見分け方

エンジン式草刈り機に使用する燃料はなにがあるのかという点がわかったところで、続いてはどの機械にどちらの燃料を使用するのかという2種類の燃料の見分け方を解説します。

エンジンの種類によって見分ける

ガソリンを使用するのか、混合燃料を使用するのかはエンジン式草刈り機のエンジンの種類によって異なってきます。エンジンの種類を理解した上で、正しい燃料を選択し、使用する必要があります。

4サイクルエンジンの草刈り機の燃料はガソリン

4サイクルエンジンというエンジンを使用した草刈り機の場合は、燃料にガソリンを使用します。4サイクルエンジンは車やバイク、原付など幅広い乗り物に搭載されています。4サイクルエンジンは「吸気・圧縮・燃焼・排気」の4工程で1回の作動となり、動力を得ています。しかし、機械によっては4サイクルエンジンで混合燃料の場合もあるので注意しましょう。

2サイクルエンジンの草刈り機の燃料は混合燃料

2サイクルエンジンというエンジンを使用した草刈り機の場合は、燃料に混合燃料を使用します。2サイクルエンジンは2つの作業を同時に行うような構造となっており、「吸気/圧縮・燃焼/排気」の2工程で1回の作動となり、動力を得ています。

エンジン種類 燃料種類
4サイクルエンジン ガソリン
2サイクルエンジン 混合燃料

草刈り機の種類では判断しない

エンジン式の草刈り機といっても、自走式や刈払い式といった草刈り機のタイプ別、用途別の種類で燃料を区別することはできません。どちらも2サイクルエンジン、4サイクルエンジンの両方が使用されている可能性があります。

わからない場合は説明書を確認

(取扱い説明書より引用)

(取扱い説明書より引用)

使用する草刈り機が、4サイクルエンジンか2サイクルエンジンかを知りたい場合には、取扱説明書を確認しましょう。取扱い説明書が見当たらない、紛失してしまったという場合には型式を基にネットで調べるか、購入店に問い合わせましょう。

ガソリンはどこで買う

車やバイクを運転される方であれば、わりと普段から身近な存在であるガソリン燃料ですが、農機具にガソリンを使用する場合の入手方法に関して説明します。

ガソリンスタンド

農機具用のガソリンも車のガソリンと同様に街中のガソリンスタンドで購入、入手することができます。レギュラーガソリンを購入するようにしましょう。購入の際には携行缶が必須となります。携行缶以外の容器にガソリンを入れて持ち帰ることはできません。ガソリン

ガソリンスタンドでの入手にも注意が必要

ガソリンを購入、運搬に関しても規則あり

ガソリンは引火しやすく、危険性が極めて高い燃料のため、有資格者でしか取り扱うことができず、購入や運搬についても規則があります。細かくは次項で説明します。

セルフ式のガソリンスタンドではスタッフを呼ぶ

ガソリンは有資格者しか扱えないため、ガソリンスタンドの従業員が携行缶への詰め替えを行います。セルフ式のガソリンスタンドでも携行缶に自らガソリンを入れることはできません。常駐の従業員の方に依頼するようにしましょう。

ガソリンに関して規則で定められている項目

ガソリンの購入、運搬に関して消防法などの規則で定められている項目を説明します。

購入に関して

購入時には身分証の提示が必要

「危険物の規制に関する規則」により、令和2年2月1日から、ガソリン購入時には「本人確認」「使用目的の確認」「販売記録の作成」が義務付けられました。ガソリンの適正な使用を徹底するため、ガソリンを携行缶で購入される人に対しては、
・購入者の本人確認として「運転免許証」など身分証の掲示
・使用目的の確認 (農機具、発電機の燃料)など
この二点の確認が行われ、ガソリンスタンド側が販売記録を作成します。
ガソリンを購入する際には身分を証明できるものを必ず持っていくようにしましょう

ガソリン用として認可された容器でなければ運搬、購入ともに不可

ガソリンの運搬には消防法令に適合した容器を使用しなければなりません。特に、軽油などに使用されるポリタンクでのガソリンの詰め替えは法律で禁止されています。必ず、認可された携行缶を使用しましょう。

購入できるのは金属製のガソリン専用容器で60リットルまで

ドラム缶以外の金属製のガソリン専用容器の場合、購入できる量は容積60リットルが上限となっています。

1日の最大購入量は200リットルまで

ガソリンスタンドの給油設備を使って、1日あたり総量200ℓ以上を容器に入れることはできません。ドラム缶を使用する場合も200リットルが上限となります。

運搬に関して

乗用車等で運搬する場合の容量は22ℓ以下かつ金属製容器(消防法適合品)に限定

ワンボックスタイプの自動車や乗用車などでガソリンを運搬する場合は,消防法により22リットル以下の性能試験に適合した金属製容器に限られています。そのため携行缶は容量が20リットル以下の物が多くなっています。

消防法に関係なく運搬は十分注意

車で運搬する時は、ガソリンが入った容器の蓋をきっちり閉めることや容器を上向きにし、車の揺れで転倒しないように容器を固定することなどが消防法でも示されています。

ガソリンの危険性

自動車用ガソリンは引火点がマイナス40℃と低く、常温でも簡単に引火する危険性があります。マイナス40℃でも気化し、常温の場合にも加熱性のガスを発生させているため、わずかな静電気や衝撃による火花等でも引火、爆発する危険性があります。取扱いには最新の注意を払い、絶対に規則を守って取り扱いましょう。

混合燃料に関して

ガソリンと2サイクルエンジン用のエンジンオイルを混ぜ合わせたものを指す混合燃料(混合ガソリン)ですが、混合燃料は1種類ではなく、比率やエンジンオイルのグレードに複数の種類があり、機械によってその比率やグレードまでも指定されています。

混合燃料の比率

(取扱い説明書より引用)

(取扱い説明書より引用)

混合燃料には50:1、25:1といった比率がありますが、その違いはガソリンに対するオイルの量になります。50:1はガソリン50リットルに対してオイル1リットル、25:1はガソリン25リットルに対してオイルが1リットル混ざった燃料です。

比率を間違えると故障の原因に

50:1や25:1といった比率を間違え、混合燃料を使用すると草刈り機の故障の原因になります。エンジンがかからない、といったことも起こり得るため必ずその機械にあった比率の混合燃料を使用してください。

エンジンオイルのグレード

JASO規格のグレード

2サイクルエンジン用のエンジンオイルは日本自動車技術会規格(JASO規格)で制定されたグレードがあります。このグレードは潤滑性、清浄性、排気煙ならびに排気系閉塞性が試験された結果で分類されています。

現在グレードは3種類

現在、JASO規格で定められ、世の中で一般的に使用されているグレードは
・FBグレード
・FCグレード
・FDグレード
の3種類です。アルファベットが進むにつれて品質があがっていきます。FBグレード→FCグレード→FDグレードの順で高品質です。以前はFAグレードも見かけていました。

(取扱い説明書より引用)

(取扱い説明書より引用)

グレードが良い分にはOK

グレードについても説明書で指定がありますが、指定よりも良いグレードのものを使う分には問題ありません。指定されたグレードよりも低品質なエンジンオイルは使用しないようにしましょう。

エンジンオイルも説明書で確認

使用するエンジン式草刈り機の燃料がガソリンか混合燃料か、の確認の次に、混合燃料使用だった場合は比率とエンジンオイルのグレードまでも確認しましょう。比率とグレードについても取扱い説明書に記載があります。取扱い説明書がない場合は、型式を基に調べるか、購入したお店に確認しましょう。

混合燃料はどこで買う

買うか作るかの二択

混合燃料の入手方法はすでに混合燃料として市販されているものを購入するか、自身でガソリンとエンジンオイルを混ぜ合わせる2つがあります。

購入先はホームセンターなどで購入可能

混合燃料はホームセンター、農機具販売店、一部のガソリンスタンドで購入可能です。最近ではインターネット上でも購入できます。

ガソリンとエンジンオイルを混ぜて作る

必要なものを揃え、自身でガソリンとエンジンオイルを適切に混ぜ合わせることで作ることも可能です。

混合燃料の作り方

配合を確認しておく

使用する機械に必要な混合燃料の比率を確認し、必要な燃料の量から、ガソリンとエンジンオイルの必要量も逆算して計算しておきましょう
例)50:1燃料の場合
ガソリンが1ℓのとき:オイル20ml
25:1燃料の場合
ガソリン3ℓのとき:オイル120ml
インターネット上には混合比計算が簡単にできるサイトも公開されています。ミスのないようにそういったサイトを使用し計算しましょう。

燃料を入れる容器、作業に使う道具を用意

注油ノズルが付いている混合燃料タンクを用意すると便利

混合燃料を作る人向けに、混合燃料タンクが市販されています。それを用意すると便利です。小さなポリタンクのような形をしており、中が仕切られているため、ガソリンとオイルをひとつの容器の中で別々に計量することができます。

使用するガソリンとエンジンオイルを準備

エンジンオイルはグレードを確認。ガソリンは注意して準備。

使用するエンジンオイルはグレードを確認しましょう。グレードの選定に不安がある場合は最も高品質なFDグレードのものを選ぶと間違いがありません。ガソリンは規則をしっかりと守り、取扱いに注意を払いながら携行缶で用意しましょう。

バイク用のエンジンオイルはNG。農機用を準備

エンジンオイルにも様々な種類がありますが、必ず2サイクルエンジン用のエンジンオイルを準備してください。また、バイク用のエンジンオイルもありますが、草刈り機の混合燃料を作る場合には必ず、農機具用のエンジンオイルを用意してください。バイク用のエンジンオイルの場合性能が劣り、不具合が起きる可能性があります。

容器にガソリンとエンジンオイルを入れ、しっかり混ぜる

ガソリンとエンジンオイルの量、種類ともに正しいものが容器へ入れられたら、蓋を締め、しっかりと混ぜ合わせましょう。

混合燃料の保存に関して

購入したものは商品説明を読む

ホームセンターなどで購入した混合燃料には使用期限が記載されています。最近では年単位での保存も可能な商品が出ています。注意書きをよく読み、使用期限までに使い切る、正しい保管方法で保存するようにしましょう。

自分で作ったものは使い切る

自分で作った混合燃料は保存せず、使い切りましょう。ガソリンは傷みやすく、劣化した燃料は機械を痛める原因にもつながります。作り置きせず、その日に使う分だけ作るようにしましょう。

混合燃料は結局自分で作るor買う どちらが良い?

様々な手間を考えると購入がおすすめ

手軽さや保管期限の長さを考えると購入がおすすめです。コストパフォーマンスで見ると自作した方がコストを抑えられるという考えもあるかと思いますが、自作の場合はガソリンをいれる携行缶や混合燃料の容器など必要なもの一式をそろえる必要があります。ガソリンさわるという危険性からも混合燃料は市販のものを購入することをお勧めします。

草刈り機燃料 取り扱いの注意点

劣化に注意

燃料は引火しやすいため、取扱いに気を付けることはもちろんですが、時間の経った燃料は劣化している可能性があります。劣化した燃料は機械故障につながるため使用しないようにしましょう。

劣化を見極め方は色や粘度

燃料が劣化すると、色や粘度、においが変化します。この3点に注意して判断しましょう。

正しく燃料タンクに燃料をいれる

燃料タンクへ燃料をいれるときは、こぼさないよう周囲の状況に目を配り慎重に入れましょう。タバコなど、火の気付近での作業は厳禁です

燃料関連のトラブル

使用する燃料を間違ったときは販売店に連絡

入れる燃料をまちがえた、混合燃料の比率が違っていた、ということに気が付いたら、すぐ使用を中止し、機械を購入した販売店やメーカーに連絡しましょう。

使用する燃料を間違うとエンジン故障などのトラブルに

間違えた燃料でもエンジンがかかっていた、という場合でも今後エンジンがとまる、エンジンが故障するという可能性があります。間違えた燃料を取り除き、正しい燃料を入れたとしても不具合が起きている可能性がありますので、燃料を間違えた時点で購入した農機具販売店やメーカーサポートへ連絡しましょう。

使用しないときの燃料は抜く

燃料が入ったまま保管すると故障に

また使うときが来るかもしれないと思って、草刈り機に燃料をいれたまま保管すると、燃料タンクの中で燃料が劣化し、故障の原因となったり、燃料によって機械内部が溶けたり、詰まったりする恐れがあります。機械から漏れ出た燃料は火災の原因にもなります。草刈り機の使用が立て込まないときは都度、燃料を抜いて保存するようにしましょう。

燃料を抜いたあとはエンジンをかけて燃料を焼き尽くす

燃料を抜いたと思っていても、実はまだ残っていることがあります。燃料を抜く際はエンジンを始動させ、燃料を吸い上げ噴射する部分であるキャブレター内の燃料もしっかりと焼き尽くすようにしましょう。

機械の保管にも注意を

機械自体の保管にも注意を払い、屋内の日の当たらない場所に適切な向きや置き方で保管してください。屋外に機械を放置した場合、燃料タンクに雨水が侵入し、故障につながる恐れがあります。

万が一燃料を抜き忘れて長期保管したときは販売店に相談

草刈り機に古い燃料が入ったまま長期保管した場合、古い燃料を新しい燃料に入れ替えることで機械が動くこともありますが、一概には言えません。中で腐食した燃料が漏れていたり、つまりが起こったりしている可能性もあります。古い燃料を抜き、購入した農機具販売店に相談しましょう。

燃料の処分について

古い燃料はガソリンスタンドに引き取り可能

古くなったガソリン、混合燃料がある場合、自身で処分することは絶対にやめましょう。下水道などに流した場合、罰せられることもあります。古い燃料はガソリンスタンドで引き取ってもらうことができます。ただし、すべてのお店で引き取ってもらえるわけではなく、自店で販売した燃料のみの受付や、そもそも処分を受け付けていないなど店舗によって対応はさまざまなようです。一度、電話やメールでお店に問い合わせましょう。

処分費用の目安

無料でひきとってもらえることもあるようですが、処分費用についても地域や店舗によって対応はさまざまなようです。

燃料関係の補助金

草刈り機本体も決して安くはない中、燃料代もかさむのは正直苦しい部分もありますよね。機械への補助金は耳にすることがありますが、燃料関係にも補助金がないか調べてみました。

自治体によっては条件付きで補助金があるところも

自治体によっては、条件付きですが草刈り作業に関連する燃料代を補助金として支給するところもあるようです。ただし、、団体での活動、地域の保全活動であることが条件となっている自治体もあるようですので、お住いの地域の情報をまずは調べましょう。

お住いの自治体での補助金を検索

補助金を検索するサイトの紹介

インターネット上にはフリーワードから補助金を検索できるサイトも存在しています。検索し、住んでいる地域で補助金の精度がないか調べましょう。
https://hojyokin-portal.jp/

まとめ

・エンジン式草刈り機の燃料はガソリンと混合燃料の2種
・エンジンの種類によってどちらの燃料を使用するのかは見分ける
・ガソリンは取扱いに関して法令で定められており、危険性が高いため取扱いには十分注意する
・混合燃料は混合比率やエンジンオイルのグレードに種類があるため要確認
・燃料関係のトラブルも多いため、説明書をしっかりと読んで対処を

燃料に関する知識を身に着けた上で、草刈り機を使用しましょう。

 

 

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