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Development HistoryDr.MIST 開発ヒストリー

有害なアンモニアを分解・抑制
まったく新しい畜産消臭システム

もともとDr.MISTの開発は、消臭剤などに使用される素材の開発を手がけるパートナー企業からの呼びかけをきっかけにスタートしたものでした。国内で採取した鉱物由来のミネラルを水に溶かすことに成功した同社から、われわれの事業領域である農業分野向け製品の共同開発の打診があったのです。

従来の消臭剤では、臭いの元となるアンモニアなどの成分を吸着し、臭いそのものをなくす方法が主流でした。一方、Dr.MISTが散布する「Dr.MISTウォーター(消臭原液)」の原材料は鉱物由来のミネラルであり、アンモニアを分解することで、ガスの発生を抑制します。牛舎の臭いの原因となるアンモニアガスを抑制できれば、牛の健康状態を保つだけではなく、畜産業を営む方々の仕事をサポートできるかもしれない。安全・安心な食づくりに貢献してきたORECとしては、Dr.MISTウォーターが持つ可能性から、農業の明るい未来を切り拓く製品開発への期待を抱いたのでした。

開発に取り組んだ約3年間、九州内の農家の方々に実証実験のご協力をいただきながら、革新的な製品に仕上げるために幾度となく改良を重ねていきました。8ヶ月間実施した検証では、Dr.MISTウォーターの消臭効果は驚くべき結果を出しました。250頭の牛舎を対象にデモ機を設置した結果、牛舎内のアンモニア濃度が約3分の1にまで削減されたのです。
さらに、牛舎の低アンモニア環境が実現したことで、敷料内の放線菌が増加し、堆肥化を促進する結果が得られました。「牛舎の臭いは消えない」という畜産業の常識を覆すだけではなく、床持ちを良くすることで、農家さんの経営をサポートできるかもしれない。畜産業の未来に貢献する、Dr.MISTの性能を確信した瞬間でした。

「床持ちは良く、負担を減らす」製品仕様

Dr.MISTは、ORECの主力製品である草刈機のように、目に見えてすぐに性能がわかる製品とは言えないでしょう。Dr.MISTウォーターは一度撒いただけで臭いが消えるものではなく、効果が現れるまでには一週間ほどを要します。さらに、床持ちを良くするためには、2〜3ヶ月以上の間、毎日散布する必要があります。

畜産業の常識を覆し、未来を変えることができる製品をつくりたい。一方で、ただでさえ忙しい毎日を過ごされている農家の方々に、更なる負担を強いるような製品にはできない。そんな葛藤と試行錯誤の中で、「床持ちは良く、負担を減らす」製品仕様を目指しました。
Dr.MISTは基本的に自動運転であり、Dr.MISTウォーターを1〜2ヶ月に一度追加するだけで使用し続けることができます。1日に4回、定刻になると牛舎に設置したスプリンクラーから自動でDr.MISTウォーターが散布され、液の希釈率や量はその日の気温によって自動で調整されます。冬場には凍結防止のヒーターが作動するため、四季を通じて農家の方の手を煩わせることはありません。これらの仕様は、農業に携わる方々の現場感覚を重視する、ORECのものづくりの精神の現れでもあります。

「臭いが消えるはずはない」
開発者の前に立ちはだかる、
畜産業の常識の壁

約3年の開発期間を経て、無事に製品をリリースしてからは、営業活動のために九州各地の農家さんのもとを回りました。ORECにとってDr.MISTは新規事業であり、新たな商流を開拓する必要があったのです。時には家畜市場に足を運び、製品の魅力をその場でPRすることもありました。

しかしながら、多くの農家さんはDr.MISTに対して懐疑的でした。畜産業を営む方々にとって「牛舎の臭いは消えない」ことは常識であり、液を撒くだけで消臭効果のある製品なんて、あり得るわけがないと。製品開発時の検証データをもとにご説明しても、最初から納得していただけることはほとんどありませんでした。「あなたの言うことは1ミリも信じられない」といった辛辣な言葉をかけられたこともあります。
農家の方々にとって、それは他でもない本音だったのだと思います。これまで臭いを消すためにさまざまな資材を試してきたけれど、どれも結果が出なかった。期待をしては裏切られ、費用だけがかさんでいく。そんな経験を繰り返してきた方々の心を溶かすのは難しく、営業活動は難航しました。

結果は家族の笑顔に表れる
Dr.MIST導入後の変化

そんな中、2015年の夏にDr.MISTをJAに紹介してもらえることになり、ある農家の方に初めて導入いただくことが決まりました。リリースからすでに3カ月が経った頃のことです。
そのお客さまは、親子で肥育農家を営んでいる宮崎のB牧場さんでした。お父さんと息子さんがそれぞれ牛舎を管理しており、先に興味を持ってくださったのは息子さんでした。設置から10カ月後、牛舎の臭いの解消だけではなく、「床替えの頻度が減って楽になった」「エサをよく食べるようになり、増体につながった」「出荷した牛の肉質が高評価だった」と、続々といい結果が出始めたのです。そんな成果を隣で見ていたお父さまも、「最近、息子に成績で抜かれてきた」と少しうれしそうにおっしゃり、息子さんの導入から1年後に導入を決めてくださいました。

さらに、試験的にDr.MISTを導入された他の農家さんの牛舎でも、たった1ヶ月で臭いが減り、環境が改善されたことで牛たちの健康状態に変化が見られました。子牛の成長にも大きく影響し、体重の増加と肉質の改善につながったことで売上が伸び、機械の導入費用を1〜2年で回収できたケースもあります。

もちろん、これらはDr.MISTの効果だけではなく、農家の方々が日々の努力を重ね、新しいことへの挑戦を繰り返してきた結果です。床替えの頻度の減少は、敷料のコストダウンによるお金の余裕だけではなく、農家さんの作業の負担を軽減し、時間にも余裕をもたらします。こうした良い変化が、農家を営む方々のご家族の笑顔にもつながっています。

とにかく変化を体験していただくために
費用ゼロで試せるデモ機の設置

Dr.MISTの開発当初は、Dr.MISTウォーターの原液を抽出する化学メーカーに加え、散布機を手がける電気メーカーなど、さまざまなパートナー企業とのコラボレーションによって成立していました。その後、体制変更に伴い、自社内にノウハウを蓄積させていったことで、現在は受注から製造、販売、機材の導入に必要な配管工事、そしてメンテナンスまで、すべての工程を自社で行う一貫体制が実現しています。
私たちはDr.MISTの製品に対する自信がありますし、まずは実際に試して効果を実感してもらうのが一番だと考えています。だからこそ私たちは「デモ機」の設置をおすすめしています。「試してみたい」という方に、数カ月間無償で製品をレンタルし、実際に変化を感じられた方に購入を考えていただく。メーカーにとってこれはリスクの高い方法です。配管工事には80〜150万円の費用がかかる上、設置後にご購入いただけない場合、工事費は無駄となりその機械は中古になってしまいます。

しかしながら、私たちにはリスクを乗り越えてでも効果を体験してほしいという強い思いがあります。「牛舎の臭いは消えない」という常識が浸透している畜産業に、明るい未来があることを実感してほしい。だからこそ、私たちはあえてリスクを取っているのです。

畜産業の未来を変えるため
Dr.MISTをスタンダードに

本の畜産業界は後継ぎ不足が深刻であり、年間で5〜10%の畜産農家が廃業していると聞きます。そんななか、Dr.MISTには畜産業界の現状を根本から変える可能性があると私たちは信じています。
2020年11月には、Dr.MISTの新たなラインアップとして「DML10」を発表しました。10〜100頭規模の牛舎向けのコンパクトなこの製品では、住宅地などの周辺環境への配慮が必要な小規模農家の方々にとっての使いやすさを追求しており、親からの代替わりによって新たに畜産業を始められる方や、個人農家として新規参入を目指す方々の事業をサポートできればと考えています。

Dr.MISTを導入した牛舎では、「消えない」と思い込まれていた臭いがなくなるのはもちろん、床替え頻度の減少、経産周期の短縮、牛の増体、肉質の向上など、数々の変化が起きています。やはり心に響くのは、実際に利用した方のリアルな感想と、具体的な経営改善の数字なんです。これは畜産業の常識を捨て、一歩踏み出すことで見えてくる新しい世界です。Dr.MISTが畜産業界のスタンダードとなり、インフラとなっていくことで、畜産業の未来は大きく変わると確信しています。

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